どんぐりおじさんの<人間関係論>

教育学を中心に、人間関係論やコミュニケーション論などに関する私案を、いろいろ書いています

教育と褒め言葉。(その5)

                    教育と褒め言葉。(その5)


                      


2種類の<褒め言葉>の検討。
さて、次の2種類の<褒め言葉>の例を見て下さい。
(A)「挨拶が良く出来て、あなたは良い子だね」
(B)「うわー! すごいな! これまで出来なかったサカアガリが、今、出来たね!」


この二つの例の<味の違い>を、あなたは、ウスウス、感じておられると思います。


以下、いろんな角度から検討して見たいと思います。
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まず、(A)「挨拶が良く出来て、あなたは良い子だね」について。


検討(1)この発言をする教師の心情は、どのようなものでしょうか?
生徒が、自分より劣っている人間である、と見ています。先生は、上のほうから、
下のほうにいる生徒を見おろしています。二人の関係は人間として対等ではありません。
「あなたは、良い子だ」と言うレッテルを、生徒に貼り付けてます。先生は、生徒を決め付け、軽蔑しています。


「生徒を褒めて、自分の考える方向に持って行こう」と言う、傲慢な、危険な意図が感じられます。





検討(2)この発言を聴いた生徒は、どう感じ、どんな生徒に
育って行くでしょうか?

自分が尊敬する先生(すべての生徒は先生を尊敬しているのです)の<褒め言葉>を聞いて喜びます。そして、当然の成り行きとして「先生に褒められたい」言う欲求が強くなります。
この欲求を満たす為に、「どうしたら、褒めてもらえるかな?」と想像しながら行動するようになります。先生の顔色ばかりをウカガイ、褒めてもらえそうなことばかり、先生に気に入られそうなことばかり、やるようになって行きます。
簡単に言えば、先生の<お気に入る人形>、<先生に好かれる人間>になろうと努力します。
ついに、先生が期待した<良い子ちゃん>が出来上がるのです。
悲しいかな! この生徒は、人間の幸福のために、何より大切な自主性、自発性、感受性を失なって、いつの間にか、<良い子ちゃん>になってしまったのです!
良い子ちゃん>この先生が作りだした犠牲者なのです!


以上述べたことは、私が考え出した<机上の空論>ではありません。<私の生い立ち>と<現実の観察>から、私が導き出した理論です。


良い子ちゃんが、幸福になることは、絶対にありません!
自分が<良い子ちゃん>であることに、何時の日か、その生徒自身が気づき、人格転換が起これば、救われるチャンスはあるのですが、これは極めて困難で、ほとんど期待できません。

教師の皆さん!
このような褒め方をして、<良い子ちゃん>を作らないよう充分注意して欲しいと強く願っています。 (つづく)
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      どんぐりおじさん
  (教育心理研究者。カウンセラー)


          


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