どんぐりおじさんの<人間関係論>

教育学を中心に、人間関係論やコミュニケーション論などに関する私案を、いろいろ書いています

「人間の壁」(石川達三)と教育(第2回)。

「人間の壁」(石川達三)と教育(第2回)


                                            




この頃、「人間の壁」(石川達三)を僕は読んでいます。


この本は、真摯な「教育論」を追求しています。
真の教育とは、何か?
真の教師の人格とは、何か?
真の教育を追及する時に、教師の前に立ちはだかる壁とは何か?
・・・・・・。


今回は、クラス担任、志野田ふみ子さんが、生徒たちに通信簿を配る場面です。
この時の先生と生徒たちの心境はいかに? 通信簿の意義は何か?


以下、抜粋・引用です。
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担任の女教師が、風呂敷包みを持って教室に入ってきた。クラス委員が号令をかける。
敬礼、着席。
机と椅子のがたがたする音が静まるのを待ちながら、女の先生は教壇の上でにこにこと笑っている。しかしその表情にはうそがあった。包みの中には56枚の通信簿が入っている。通信簿が子供にとって、どんなに過酷な物であるかは、先生自身も知っている。その過酷さをまぎらすために、先生は作り笑いをしているのだった。


一分後に、子供たちは過去の一年間の自分の成績を知らされるのだ。怠けたり、いたずらをしたり、ケンカをしたりしたことの総決算をつきつけられる。そして自分の能力の限界を知らされる。
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その子供は、これから先の50年の生涯を予言されたような、不気味なものを感じるに違いない。1年に3度ずつ,そう言う苦痛に耐えながら、生徒たちは育って行くのだった。
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      どんぐりおじさん

        

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