どんぐりおじさんの<人間関係論>

教育学を中心に、人間関係論やコミュニケーション論などに関する私案を、いろいろ書いています

「人間の壁」(石川達三)と教育(第4回)。

「人間の壁」(石川達三)と教育(第4回)。


                                    


「人間の壁」(石川達三)は、昭和30年代、小学校の教師、志野田ふみ子(冷たい夫と離婚後、尾崎ふみ子)が真摯な「教育論」を追求してゆく悪戦苦闘の姿が、石川達三の鋭い眼をとうして描かれています。


今回は、尾崎ふみ子が、仲間の女教師に語っている道徳観を聞いて見ましょう。
以下、引用、抜粋です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「道徳問題にしましても、文部省は来年あたりからぜひとも実施すると言う気持ちのようですが、その道徳と言うのが、教師は自分で信じている新しい道徳を子供に教えるだけの自身が無くなって、当たり障りの無いような、教師が責任を取らなくても良いような、お座なりの形式的な道徳を教えると言う事になるだろうと思うんです。
 そういう教育で父兄の皆さんが満足なさるんでしたら、教師なんか要りませんわ。文部省が道徳教育の下コードを何万枚かこしらえて、教室で蓄音機をかけて子供に聞かせたらそれでいいんです。道徳教育の時間を特設して、方にはまった道徳を教えるんでしたら、その時間にNHKからラジオ放送をして、教室でみんなに聞かせたら、一番簡単ですわ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕は、これを読みながら、ビックリしました!
政府は、昭和30年ごろから、道徳教育を学校教育に導入しようと画策していたことを知ったからです。
「人間の壁」は、小説とは言いながら、石川達三が、現実を調べつくして書いた「経験小説」です。まず事実と一致しているでしょう。
政府は、今、ついに「指導要領」によって、道徳科を正科とすることに成功したのです。
政府主導の道徳教育は、政府の都合の良い子供、国民を造ろうとしているのです。「国を愛するよう指導せよ」などと言っているのです!! 


政府主導の道徳教育は、恐ろしい<洗脳作戦>以外の何ものでもないことを、私達は肝に銘じなければならないと、僕は強く感じています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


     どんぐりおじさん

  

           

×

非ログインユーザーとして返信する