どんぐりおじさんの<人間関係論>

教育学を中心に、人間関係論やコミュニケーション論などに関する私案を、いろいろ書いています

教師に求められる人間的能力(6) <先生が自分の性格を認識する洞察力> ・・= 自己概念テスト結果の分析(12)=

   教師に求められる人間的能力(6)



  <先生が自分の性格を認識する洞察力>
     = 自己概念テスト結果の分析(12)=


           

(16)私は、生徒を、怒る。
B「A先生は、生徒たちを怒ることが,多いのですか?」
A先生「そうです。私は、すぐ、生徒を怒るのです!」


B「どんな時に、怒るのですか?」
A先生「そうですね。いろんな時に、怒りますね」


B「そうですか。A先生は、『生徒を、よく怒る自分』を、どう思いますか?」
A先生「難しい質問ですね。そんな事は、これまでに、聞かれた事がないので、どう答えたら良いかさえ、解らないのですが・・・」


B「では、質問をもっと具体的にしましょう。『生徒を、よく怒る自分』に満足してますか、不満足ですか? あるいは『生徒を、よく怒る自分』を、好きですか、嫌いですか?」
A「もちろん,そう言う自分が、嫌いです。怒った後、生徒も、私も不愉快になるのですから」
     
B「そうですか。それでは、出来れば、『怒らない自分』に,変わりたいのですか?」
A先生「そうです。すぐにでも、変わりたいのです。でも、人間の性格は、一生,変わらないですよね?」


B「そんなことは、絶対にありません。自分自身の力で変わることが出来るのです」
A先生「ほんとですか! 私は、人間の性格は、もって生まれたものだから、一生、変わるものではない、と思っていましたが、ほんとに、変われるのですか?」


B「変わることが出来ます。もし、変わらないとしたら、教師の仕事は、なんでしょうか? 教師の仕事は、生徒と付き合いながら、生徒の人格、性格を、より人間的な、健全な方向に、変える事ではありませんか?」
A「確かにそうですね。持って生まれた性格が、変化しないとしたら、教師による教育活動は無意味だ、と言うことになってしまいますね」


B「おっしゃる通りです。それに、A先生は、ご自分が担当している生徒達の性格が、どんどん変化して行くのを実際にご覧になっておられますよね」
A先生「落ちつきのない生徒が、見違えるほど落ちついて来たりしますからね」


B「そうです。私も子供達の成長には、いつも感動しています。生徒たちは、日々、成長行きます。ですから、持って生まれた人間の性質は、一生、変わらない、と言うA先生のお考えは、間違いだと思いますが、いかがでしょうか?」
A先生「確かに、私の考えは、事実に反していますから間違いです」


B「ご自分の考えが、間違っていたことを認められるのですね」
A先生「認めます。いつの間にか、間違った考えを、勝手に思い込んでいたようです。
 ただ、ここで、疑問が出てくるのですが・・・」


B「では、次号で、その疑問を、ご一緒に考えたいと思います」
A先生「生徒達の性格が成長して行くのは、まだ年齢が若いからであって、私達、おとなの性格は、変化(成長)しないのではないでしょうか?これが、私の疑問なのです」


B「あなたのおっしゃる事は、ごもっともです。大人の性格が、健全な方向に変化するのを、私達は、稀にしか見る事がないのですから。しかし、変わることは、出来るのです。性格が改善する人も、稀ではあっても、実際にいるのですから」
A先生「なぜ、そんなに稀なのでしょう?」


B「それは、簡単に言うと、いろんな知識を見に付けるため、頭が子供のように柔らかくないからです。このことは、簡単には説明する事が出来ないので別の機会に廻して欲しいのですがいかが?」
A先生「そうしてください。では、話を戻して、どうすれば私の性格を改善することが出来るのですか?」


B「人格転換(パーソナリティ・チエンジ)が起こる条件は、次のようなものだろうと、私は考えます。
(1)自分が、<現在の自分の性格>に気付き、<自分が、自分として、より満足出来る性格>に改善したいと願っている事。
詳しく言い換えれば
(1-1)<現在の自分の性格・X>を、「自分として、イヤだ」と感じ、
(1-2)<自分が、自分として、満足出来るであろう性格・Y>に、改善したいと願っている事。


(2)生活の中で、自分が、<Y>を実感する事が出来た時。


上記の条件が、すべて満足された時のみ、その人は、「人格転換が出来た」と言えると思います。


A先生「具体的実例として、私の場合で、説明して欲しいのですが・・・」
B[わかりました。A先生に当てはめると、次のようになります。
<現在の自分の性格・X>=「私は、よく生徒を怒る」。
先生は「こういう自分に気付き、認め、何とかして、こう言う自分を改善したい」と願っています。
A先生は、<自分が、自分として満足出来るであろう性格・Y>=・「生徒を、あまり怒らない自分」になりたいと、今、願っています。


A先生「私は、変わることが出来そうですか?」
B「私は、きっと出来ると思います。人格転換の条件が充たされていますから。自分の生活の中で確認して欲しいと思います」。 
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