教育新聞(第12号)
人格養成のための<新・教育学>
=対話による、生徒中心の教育=
(Ⅰ)実践論
(1)序論
教育の目的は、ただ一つ、<生徒の人格養成>です。では、<生徒の人格養 成>は、誰が、いつ、どこで、どのような方法・手段により、実践されるので
しょうか?
ここから、いよいよ、実践論が具体的に始まります。
(2)基礎概念
(い)C・R・ロジャ―ス博士の仮説
「すべての人間は、生まれながらにして、自己を、人間として健全な方向へ 成長・発展させて行く潜在的な<性質・傾向・能力>を有する。この傾向を <実現化傾向>と言う」。
(ろ)<実現化傾向>について
C・R・ロジャ―ス博士が発見した、この<実現化傾向>は、あくまでも
潜在能力です。例えて言えば、植物のタネの中に潜んでいる生命力の様なも
のです。そのタネが、実際に、発芽し、成長し、花を咲かせるためには水、 土、光、肥料、温度、その他の、<適切な条件>が、外部から与えられなけ ればなりません。もし、<適切な条件>が、外部から与えられなければ、蒔 かれたタネは、芽も出すことが出来ずに、腐ってしまうでしょう。
人間の場合、その個人の潜在能力が、十分に発揮され実現されるために必 要な<適切な条件(適切な環境)>とはどのようなものでしょうか?<適切 な条件(適切な環境)>が、その個人の<外部から>与えられなければなり ません。この<外部から>という所が重要です。
もし、その個人の<外部から>、<適切な条件>が、与えられなければ、 その個人の成長・発展は、不十分になります。まったく与えられない場合 は、残念ながら、人間は、その時に死んでしまいます。非常にきびしいこ とですが、れは事実です。人間に限らず、すべての生き物に言える事実です。
ここで、考えなければならない疑問が、2点、出てきました。それは、なん でしょうか? 次の2点です。
(1)その個人に与えられる<適切な条件>とは何か?
(2)その個人に与えられる<適切な条件>は、誰が、いつ、どこで、どの ような手段・方法によって、その個人に、与えることが出来るのしょ うか?
上記(1)、(2)は、実践論の土台となり、この土台の上に、家(実践論) が、組み立てられて行きます。
次号から、皆さんとご一緒に家を建て始めたいと思いますので、この土台が、ど のようなものか、ぜひ、お考え頂きたいと願っています。
先生方は、教育現場で、実際に、生徒の人格養成に努力しておられるのですか ら、ご自分の経験から、この土台についての知識を豊富に持っておられるに違いあ りません。もし、その知識を教えて頂けたならば、その知識も考慮し、教師経験 がたったの6年間しかない私などが、勝手に自分だけの設計図で家を建てるよもっ と素晴らしい現実的な家(実践論)を築くことが出来るに違いありません。
=以上=