どんぐりおじさんの<人間関係論>

教育学を中心に、人間関係論やコミュニケーション論などに関する私案を、いろいろ書いています

「人間の壁」(石川達三)と教育(第7回)。

「人間の壁」(石川達三)と教育第7回


                                                 

                                       



「人間の壁」(石川達三)は、昭和30年代、小学校の教師、志野田ふみ子(冷たい夫と離婚後、尾崎ふみ子)が真摯な「教育論」を追求してゆく悪戦苦闘の姿が、石川達三の鋭い眼をとうして描かれています。



今回は、尾崎ふみ子とPTAの役員、長田夫人が、偶然、列車の中で出会い、教育について、お互いの心の葛藤を真剣に語り合っています。
前回に続き、尾崎ふみ子先生の考えを聞いて見ましょう。


以下、引用、抜粋です。
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 男の心の中には、支配者の意識が深く根を下ろしている。ことに家庭の父となった時、妻の夫となった特、支配者意識は強く働きだす。・・・・(略)


支配者というものは総じて、保守的であるのだ。支配者は自己の競争者を恐れる。支配者の位地を危うくする物を恐れる。自分の支配的立場を守るために、あらゆる形の革命を恐れる。政権を握った政党は、政権が安定すると保守的になる。家庭の父もおなじことだ。新しい教育思想がはいってくれば、家庭を支配している彼自身の道徳的地位は危険になる。父の権威は、失われるかもしれない。臆病な父親が、新しい思想に対して最も強く反発する。市は意欲の旺盛な父親が、新しい学校教育に強く反発したがる。 
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尾崎ふみ子先生とPTAの役員、長田夫人との対話は、今回で終わります。
何か、参考になったでしょうか?
もしそうなら、こんな嬉しいことは有りません。
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        どんぐりおじさん

       

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