教育新聞(第34号)
教師の観察力が捉えた<生徒の特性(人格、性格)>が、
<生徒の人格養成>を促進するために、
最も重要な基本データーとなるに違いありません。
人格養成のための<新・教育学>
=対話による、生徒中心の教育=
先生に求められる能力と、その考察(9)
(Ⅰ)第四に求められる能力は、<観察力>(その2)
(5)観察力を強めるには?
観察力が弱いと、
生徒の行動を正確に観察することが出来ません。
そこで、自分の観察力を強くする努力が必要となります。
どのようにすれば、それが可能となるか、
考えてみたいと思います。
(5-1)<感受性、注意力、集中力、忍耐力、
思考力、>を強めること。
生徒の行動を正確に観察して、
生徒の特性(人格、性格)を正確に理解するには、
先生の<感受性、注意力、集中力、忍耐力、思考力>が、
強くなければなりません。
それは、なぜでしょうか?
それは、生徒の行動を、
何度も何度も、
忍耐強く、
注意して、
よく見て、
よく聞いて、
感じて、
そして獲得した正確な知識を、
正確に考え、
検討して、
始めて、生徒の正確な特性(人格、性格)を
把握することが可能になります。
このように具体的に考えてみると、
観察力が充分に働くためには、
これら五つの能力が
同時に働いていることがわかります。
観察力は、これら五つの能力(特に感受性)の協働によって
発揮されているのです。
<結論>
観察力を強めるには、
観察力と同時に働いている、
この五つの能力を、
強める必要があります。
この五つの能力を、強める具体的な方法は、
すでに研究済みですから、
ここで重複することは避けたいと思います。
<注意!!>
上記に、「生徒の行動を正確に観察し、生徒の正確な特性を知ることが出来 る」と書きましたが、厳密に言えば、これは、正確な表現ではありません。
これは、観察力が充分に働いている理想の場合の話です。
私達の実際の観察力は、いつも不十分です。
ですから、私達が、把握した生徒の特性は、
常に、不十分で、不正確なのです。
この不正確な理解を、
より正確にする有効な方法があります。
それは、<生徒との話し合い>(数秒~数分)です。
必ず、生徒(時には、保護者)と話し合って、
自分が把握した生徒の特性を、
生徒自身(時には、保護者)に確認することが、
何より重要です。
「自分が把握した生徒の特性は、間違いない」と思い込むと、
<生徒の人格養成>は、促進されないことになるでしょう。
(5-2)想像的理解の回数を減らすこと。
私達は、物事を理解しようとする時、
「きっと、こうだろう」と
想像することになれています。
そして、想像したことに気づかず、
<想像したこと>を<事実だ>と
思い込むのです。
私達は、年中、これをやっています。
誰もが、これをやっています。
そして、<現実の世界>と違う、
<想像(架空)の世界>を作りあげてしまいます。
そして、その<想像の世界>を
<現実の世界>と思い込んで、
誤解している事に気づかずに、
<想像の世界>で生きているのです。
残念ながら、これが、未熟な私達、すべての人間の
毎日の生活なのです。
驚いた事に、このことに、私達は気づいていないのです。
<想像の世界>、<井の中のかわず>から抜け出し、
<現実の世界>に少しでも近づくことによって、
生き生きした、
生き甲斐のある、
充実した、
喜びの多い生活が
出来るようになるのです。
それには、どうしたら良いでしょうか?
それには、次のことに、気づかなければなりません。
(1)自分が、なんども、「その瞬間」、または、「その後」で、想像してい ること。
(2)自分が、<想像>を<事実>だ、と思いこんでいること。
(3)<想像>は、<事実>ではないこと。
このことに、自分が、気づいたとき、
始めて、その人は、想像の回数を、減らして行くことが出来るでしょう。
それには、自分の心に注目しなければなりません。
これは、非常に困難なことですが、
生涯にわたる、忍耐と努力によって、
この困難をすこしずつ乗り越えることが出来るでしょう。
この過程にこそ、他の何ものにも変えがたい喜びと幸福があるのです。
*生徒の行動を、
より正確に観察し、
生徒の特性を、
より正確に知るには、
想像的理解(思い込み)の回数を、
一つでも、二つでも、減らすことが重要です。
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