どんぐりおじさんの<人間関係論>

教育学を中心に、人間関係論やコミュニケーション論などに関する私案を、いろいろ書いています

一日・一言(その37)・・<悪い子>を作らないために。

           一日・一言(その37)



          <悪い子>を作らないために!
      <悪い子>の発生と心理と改善策。


         


<悪い子>は、 一日・一言(その36)に述べた<良い子>が作られて行く過程と対応しています。


*<良い子>は、親や先生から高く評価されて作られて行きます。


*<悪い子>は、その反対に、低く評価されて作られて行きます。


)<悪い子>とは、劣等感が強過ぎる子供、を指しています。
<意地悪>を指しているわけではありません。




(1)悪い子は、こうして作られます。
(1-1)対話の中で。
子供は、生まれた時から、親に、特に母親から、低く評価されること(否定されること。怒られること。咎められること。

・・・)をイヤがります。
コワイからです。自分の存在価値が、グラツクからです。突き放されたようで、不安になるからです。


家庭で、親、特に母親から、このような否定的な発言や行為が続くと、子供の心に、劣等感がどんどん強まります。
「あー! 自分は、ダメな人間なんだ!」と無意識に思い込むのです。


3歳ごろから、家庭を出て、保育園、幼稚園、小学校に行くようになると、今度は先生から、家庭で受けたことと同じような否定的な発言や行為を受ける事になります。



(1-2)順位、点数を付けられることによって。
大人は、対話以外でも、子供に「自分が、低く評価された、否定された」と感じさせる事ができます。


これは主に、学校でいろいろ行われています。
先生が、子供の行為、作品に、順位、点数を付けることによって。

*生徒の作文、絵などの優秀作品だけを表彰したり、教室に貼りだしたりする。先生が、ヘタだと判断したものは、取り除かれるのです。取り除かれた生徒は、無意識に「オレは、ダメなんだ!」と強く感じるのです。
*答案に点数を付ける。いつも、30点だったら、生徒はどう感じるでしょうか!
*通知表、連絡帳などで、生徒の態度を否定したり注意したりする。



このように、家庭でも、学校でも、否定される発言や行為が続くと、9歳ごろには<悪い子>が出来上がってしまうのです。
これは、悲劇です。


9歳ごろまでは存在していた子供の大切な資質である、自主性、自発性、感受性、自己主張力、自己評価能力などは、少しづつ消えて劣等感の強すぎる<悪い子>が出来上がるでしょう。




(2)<悪い子>の心理。
<悪い子>は大人(親、先生)から、さらに友達からまでも、何か怒られやしないか、
イヤなことを言われやはしないか、注意されやしないか、嫌われやしないかと、何時もビクビクしているのです。

人間的成長の原点である「一刻、一刻、自分が、やりたい事」を感じとる基盤がありません。
「一刻、一刻、自分が、やりたい事をやる」などと言う事は思いもよらない事なのです。
「一刻、一刻、自分が、やりたい事をやる」と言う自己経験が出来ないので、人間的成長は望めません。


残念な事に、9歳頃までは持っていた、自主性、自発性、感受性、自己主張力、自己評価能力は失なわれています。


一言で言えば、自己喪失人間です。
<良い子>の心理と同じです。


*<良い子>は、過大な優越感が存在します。
*<悪い子>は、過大な劣等感が存在します。
ここが、違うだけです。



ここで注意して欲しいことがあります。
それは、すべての人間は<悪い子>の心理を持っています。
なぜなら、すべての人間は、9歳ごろまでに、ある程度、<悪い子>の心理が、植え付けられているからです。
程度の違いがあるだけです。


悪い子の心理が、100パーセントの人間などは存在しないのです。
悪い子の心理が、ゼロパーセントの人間なども存在しないのです。



私達は、ここで大きな課題、人生の課題が、発生したことを見逃してはなりません。
<自己喪失人間(良い子。悪い子)が、自己を快復するにはどうしたら良いか>と言う課題です。

一生かかる大仕事が発生したのです。

この課題を解決する方法は、自分の中に<良い子>、<悪い子>の心理が存在する事に気付くこと以外には在り得ないでしょう。これは、可能なのです。



(3)悪い子を作らないためには、どうすればよいか?
<悪い子>の心理が、子供の心に、一旦、植え付けられてしまうと、これを改善する事は一生かかる大仕事になってしまうのです。
ですから、親や先生が充分注意して、悪い子を作らないことが肝心です。


それには、どうしたらよいでしょうか?
それは、前に述べたような<悪い子>が作られていく過程を見れば答えは明らかです。
それは次の様になるでしょう。


(3-1)対話の中で。
親や先生が、子供をやたらと、否定しないことです。

「何だ!このへたな絵は!」。
「たった30点か!」などと言わないこと。
結果だけを評価するから、こんなことを言いたくなるのです。


プロセスに注目して下さい。

結果にいたるプロセス(子供の努力、気持ち)に注目し、これを尊重すること。
そして、次のように自分の希望、願いだけを伝えてください。
「がんばって描いたんだね。よかったね」。

「先生さ、次は、もう少し頑張って、50点位は採って欲しいんだけど、どうかな?」。


(3-2)順位、点数を付けない。
親や先生は、結果だけを評価しないこと。

もう1度、言います。
結果にいたるプロセス(子供の努力、気持ち)に注目し、これを尊重すること。
先生は、何事においても、生徒に、順位、点数を付けないこと。
差別的状況を作らないこと。例えば、良い子をほめたり、良い作品だけを、壁に貼りだしたり、・・・・。
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どんぐりおじさん


     

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