どんぐりおじさんの<人間関係論>

教育学を中心に、人間関係論やコミュニケーション論などに関する私案を、いろいろ書いています

教育新聞 (第53号)

二者択一>の判断基準で、物事や人間の行動を判断する事は、出来ないのではないでしようか?




人格養成のための教育学
=対話による、生徒中心の教育=



【 自己概念テスト(1)結果の検討(つづき)。 


(1)~(12)・・・・・・すでに検討済みです。 


今号は、(13)項からです。
         
(13)「私は、生徒に「善いこと、悪い事」を、教えようと


する」。

 プラス側の先生は、この(上記)教育方針に賛成した訳です。


 マイナス側の先生の教育方針は、「私は、生徒に「善いこと、悪いこと」を、教えよう


としない」と言うことです。




 ここで、プラス側の先生に、お聞きしたいと思います。


善いこととは、何ですか?


「悪いこと」とは、何ですか?


 あなた「そんな事は、昔から決まっている事だから、今さら私が考える必要はありませ


ん」。


 わたし「あなたは、昔から決まっている事だ、と言われましたが、いつ、誰が、決めた


のですか?」


 あなた「わたしは、そんなことは、知りません。しかし、昔から言われてきた事だか


ら、間違いはありません」


 わたし「では、あなたは、なぜ、『昔から言われていることは、間違いがない』と判断


出来るのですか?」


 あなた「こんな、抽象的な議論をしていても始まりませんから、具体例で話し合いませ


んか?」


 わたし「それは、いいアイデアですね。では、昔から、おそらく多くの国で、『嘘をつ


くことは、悪い事だ』と言われてきましたが、この事について、あなたは、どう考えます


か?


 あなた「当然、『嘘をつく事』は、悪いに決まっています」。


 わたし「では、お聞きします。『嘘をつく人は、悪い人だ』と言う事になりますね?」


 あなた「当然、そうなります」


 わたし「しかし、実際の生活では、私達、すべての大人達(子供達は、ほとんど嘘をつ


きません。実に正直です)は、毎日、毎日、何度も嘘をつきながら暮らしています。


 本心を言う事など、めったにありません(ここでは、『本心ではない事を言うのが、嘘


だ』と定義しています)。


この事実を、あなたは認めますか?」


 あなた「認めないわけには、いきません」


 わたし「そうなると、あなたも、わたしも、政治家も、保護者も、皆、「嘘つきだ」、


「悪い人だ」、という事になりますね」


 あなた「そうなります。しかし、相手が言った事に、私が、そう思わなくても『そうで


すね』と本心ではないこと(嘘)を言わないと、自分や他人が、傷ついたり、損をしてし


まうことがあるのですから、仕方がないでしょう!」


 わたし「わたしも、そう思います。『嘘も、方便』である事を、あなたも、私も、認め


たことになりますね」


 あなた「そうなります」


 わたし「そうなると、嘘は、時と場合では、自分や他人の利益を守るために、有益であ


り、結局、「悪い事」であるどころか、「善いこと」だ、と言うことになりますね?」


 あなた「そう言うことになりますね。結局、あなたが、わたしに言いたかったことは、


何でしょうか?」


 わたし「一概に、物事や人間の行動を、『善い事だ』とか、『悪い事だ』とか、二者

の判断基準で、判断する事は、出来ないのではないか、誤りではないか、という事


をお伝えしたかったのです。


 人間の生活は実に複雑です。


 環境も、人の気持ちも、刻々、変化して行きます。


 この様な中で、物事を、『白か、黒か』、『正しいか、誤りか』、『右か、左か』など


と、二者択一のモノサシで判断する事は、わたしは、出来ないと考えるのですが、い


かがでしょうか?


 ある時は、善い事でも、別の時には、悪い場合も、あるのではないか、という事をお


伝えしたかったのです。


 実際の生活の中で、人間の行動や考えの妥当性、適切性、現実性、利害損得、などを判


断する時には、二者択一の判断基準を使えないのではないでしょうか? 


 では、どうしたらよいでしょうか?


 私は、次のように考えながら、判断しながら、生活しています。


 これ以外には、複雑な現実生活の中での、判断の仕方は、私には、見つからないので


す。


 私の考え方、判断の仕方は、次のようになります。


 ケース・バイ・ケースで、「私が、今、そうすると、どんな事


が、実際に、起こりそうか」、

 「私が、あーすると、どうなりそうか」を、自分なりに、時には他の


人にも相談して、具体的に、慎重に、検討し、判断するように、心がけているのです。


 しかし、これは、なかなか、確実な答えが出ない事が多いのです。仕方がないので、


不確実な判断で、実行するしかありません。そして、その結果をよく見て、時分として、


不満足なことが起きていれば、そこで修正します。何事も、試行錯誤です」 
  
 あなた「確かに、あなたの判断の仕方が、妥当だと言う気がしてきました」


 わたし「理解しあえて、本当に良かったと思います」
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ご感想を心よりお待ちしています(どんぐりおじさん)。   
 takano2424@sky.plala.or.jp





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