教育新聞(第33号)
生徒への<暖かい関心>が、
正確な観察を実現し、
生徒の健全な発達を促進するでしょう。
人格養成のための<新・教育学>
=対話による、生徒中心の教育=
先生に求められる能力と、その考察(8)
(Ⅰ)第四に求められる能力は、<観察力>(その1)
(1)<観察力>とは?
広辞苑によれば、
<観察力>とは、「物事の、真の姿を、間違いなく理解しようと、
よく見る能力」
教育現場での<観察力>とは、
先生が「生徒、一人一人の行動を、
よく見て、
よく感じて、
生徒、一人一人の、特性(人格、性格など)を、
正確に、知る能力」。
(2)<暖かい関心(POSITIVE REGARD)>と<観察力>
先生に求められる<観察力>は、
先生の役割を実行していく時に、
どうしても必要な能力です。
先生の役割は<生徒の人格養成>を促進することです。
先生は、朝、生徒に会ってから、下校するまで、
多くの時間、
多くの生徒と
一緒に生活します。
ここで、先生は、生徒、ひとりひとりを、
見たり、
聞いたり、
会話をしたりして、
生徒の行動を観察することが出来ます。
ここで発揮されるのが、
先生の<観察力>です。
<観察力>が不十分だと、
<正確な観察>が不十分になるでしょう。
ここで重要なことがあります。
それは、「先生が、生徒、ひとり、ひとりに対して、
<暖かい関心>がある時、
その時、始めて<観察>が、スタートする」
という事です。
<暖かい関心>とは、
<生徒、ひとり、ひとりが、
幸福に育って欲しい、と願う心>です。
<暖かい関心>のない<冷たい、批判的関心>による観察も可能です。 しかし、ここでは、生徒の健全な成長・発展は、不可能です。
以上を、図式で示すと、次のようになります。
観察力を発揮する==⇒生徒の行動を観察する
↑ ==⇒ 生徒の特性を知る
<暖かい関心> ==⇒ 生徒の特性を知る
(3)先生の生徒に対する<暖かい関心>の具体例
*A君に対して
先生「A君は、毎日、遅刻してくる。朝、起きられないのだろう か、それとも、他に原因があるのだろうか? 私は、遅刻しない で欲しいのだけれど、何とか、ならないだろうか? 一度、A君 と話し合ってみよう」。
*Bさんに対して
「彼女は、他の生徒と、ほとんど話をしない。だから、友達もい ない。このままでは、心配だ。まずは、私が話しかけるように 心がけて、様子を見よう」。
*C君に対して
「彼は、とても生き生きしていて、感受性も強い。ほとんど心配 はないが、すぐ風邪をひいて休む。だから体がもっと丈夫に なってほしい。休み時間、外に出ないので、外に出て運動する ように、また、家に帰っても外で運動するように話そう」。
(4)<話し合い>
観察の結果、気になる事、わからない事は、
<話し合い>で、より正確に、理解し、
解決することが重要です。
自分の想像だけで、片付けないこと。
<話し合い>は、
先生の気持ち(心配、気がかり、願い)だけを、
正直に、慎重に、伝えよう。
説得は、先生の価値観の強制となるので、
生徒の成長を妨げるでしょう。
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*ご質問、ご意見などを、心よりお待ちしています。秘密は厳守されます。
(どんぐりおじさん)