教育新聞(第25号)
生徒の成長・幸福に役立つ教育は、先生が、自分と生徒を、あるがままに、見ることによって実現すると思います。
人格養成のための<新・教育学>
=対話による、生徒中心の教育=
<生徒の人格養成>の実践
=その具体的方法=
自分自身の人格、性格の改善方法
(1)ステップ(1)
まず始めに、<今の自分>を観察し、自分の行動に関するデーターを、収集しす。
<自分を観察する>とは、「自分は、どんな人間だろうか?」と<自分につい て、考えること>ではありません。「何かを知るには、その事について、よく考え ることが、大切だ」、とよく言われます。しかし<考えること>によっては、その ものが、何であるか、を知ることは出来ないでしょう。まず、最初に重要なこと は、<そのものを、よく観察すること>、クールに、<あるがままの事実を、見つ めること>でしょう。これが科学的な態度です。
自分自身を、知る場合にも、同じことです。
<自分を観察する>とは、今、目の前を歩いている蟻の行動を観察する時と同じよ うに
(1)先生自身の気持ちが、一瞬、一瞬、どのように動いて行くか、変化して行くか、
(2)生徒の気持が、一瞬、一瞬、どのように動いて行くか、変化して行くか、を良く 見ること、見つめることです。
ここでは、先生の観察力、感受性(感受力)が、求められます。
<自分を観察する>具体的方法のひとつが、前号で提案した「生き生き・生活術」ですが、皆さんは、試されたでしょうか? 試してみて、どのように感じられたでしょうか?
(2)ステップ(2)
次のステップは、ステップ(1)で収集された<自分と生徒に関するデーター> を、<よく考察すること>です。ここでは、考察力、思考力が、要求されることに なります。
たとえば、「自分は、生徒を注意することが、非常に多い」と言うデーターが、 得られたとします。この事実(得られたデーター)を、よく考察しなければなりま せん。
*「自分は、どんな時に、生徒を注意するのだろう?」
*「注意するのは、生徒の行動に不満があるからだろうか?」
*「その不満が、起こってくる根元は、どこに、あるのだろう?」
*・・・・・・・・・・
いろいろな角度から考察した結果、
*自分が生徒を注意するのは、「生徒が、自分の思い通りに行動しなかった時だ」 という事が、わかったとします。
*さて、ここで見えてきたのは、どんな自分でしょうか?見えてきたのが、仮に <生徒を自分の思い通りにしたい、と考える自分>、<生徒を支配しよう、とす る自分>だとします。
*もしそうだとすれば、次に考察すべきは、「この自分の考えは、自分として、妥 当だろうか? 自分として、満足だろうか?」と言うことでしょう。
* もし、この自分の考えを「妥当だ。当然だ」と判断するならば、<生徒を、自 分の思い通りにしたい、と考える自分>は、改善されないでしょう。現状維持と なるでしょう。
*反対に、この自分の考えを「妥当ではない。そんな自分は、好きではない。自分 として不満である」と判断するならば、その人の行動は、だんだんと、時には、 突然、改善されていくでしょう。
ここで重要なのは、<判断基準>です。
*判断基準は、<自分の理性>でなければなりません。<自分として、満足か、不 満足か>です。
*判断基準に<常識(「誰もが、そうしている」と言う見方>や<道徳観(良いこ とか,悪いことか)>を採用するならば、健全な発展は期待できないでしょう。 この判断基準は、幸福に至る道では、ないでしょう。
上記の例では、この先生は、自分を<理性に照らして考察し、判断すること>によって、<生徒を自分の思い通りにしよう、としている自分>を新たに発見したのです。<新たな自分>の人格特性・自己概念に、気づいたのです。
人間は、<新たな自分>、<新たな自己概念>に気づいた時、自分の人格特性を改善することが、出来るでしょう。
「その改善の方向は、人間として健全な方向に向ってゆく(実現化傾向)」ことが、ロジャ-ス、スピノザなどによって検証されています。先生方は、このような著名な人々の検証を待つまでもなく、生徒たちが、見事に成長して行く姿を、目の前で実感することが出来るでしょう。このような喜び多き、すばらしい場に恵まれているのは、先生方や保護者の方だけです。=以上=
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