<新・教育学>(その8)
人格養成のための<新・教育学>(その8)
=対話による、生徒中心の教育=
(ち)子供(幼児から社会人になるまで)の人格養成
は、誰が、いつ、どこで、行うのでしょうか。
(1)<子供の人格養成>は、誰が、行うのでしょうか?
当然、子供ひとりひとりが、自分自身の力で、自分自身に対して、行うの
です。
そのような能力を、すべての子供が、生まれた時から、潜在的に、先天的に
持っています。すべての人間が、それらの能力を、実現して行く性質・
傾向(実現化傾向)を持っているのです(ロジャース理論)。
ここで、みなさんから、こんな声が聞こえてきます。
「<子供の人格養成>は、子供自身が、やるのですか! それは、間違い
ではないでしょうか!<子供の人格養成・人間形成>は、私達おとなの仕事
ではないでしょうか!」と。
このご意見は、これまでの教育観からすれば、当然、予想されるものです。
しかし、<新・教育学>は、そうではないのです。子供の実際の成長を、
あるがままに観察するならば、必然的に、どうしても「子供の人格を養
成しているのは、子供自身」なのです。
親や先生が、子供に<自主性>、<好奇心>、<思考力>などなど(これ
までの記事、参照)を与えることが出来るでしょうか?
決して、出来ないのです。
これは事実と見て間違いないでしょう。
子供自身が、自分の中にある可能性を発揮しながら、自分を養成・成長・
発展させて行くのです。
ロジャース博士は、自分の長年のカウンセリング経験から、これを発見し、
実証したのです。
学問は、どんな学問でも、頭の中で抽象的に考えて理論化すると、事実から
遊離した机上の空論となるのです。事実をよくよく観察して、そこで得られ
た具体的な多くのデーターを、抽象化したものでなければなりません。これ
が、科学的態度だと思います。
すべての学問は、科学的でなければ、とんでもない誤りを犯すでしょう。
教育学も、科学です。
非科学的な教育論は、子供達を不幸な人間に作リ上げてしまうに違いあ
りません(洗脳)。非常に危険です!
(2)おとなが、子供のために、なすべきこと。
<子供の人格養成>は、子供自身が、実行するのです。
では、おとなは、子供のために、何をすべきなのでしょうか?
何が出来るのでしょうか?
何もすべきことは、ないのでしょうか?
怪我でもしないように、だまって見ていれば、いいのでしょうか?
とんでもありません!
おとなには、おとなにしか出来ない重要な仕事があるのです。
それは、何でしょうか?
<自由な環境>を与えることです(これまでの記事、参照)。
おとなにとって、この仕事は重労働です。しかし、この仕事の中で、子供が
元気に育っていくのを見る喜びは、何ものにも変えがたいものであり、ここ
に、おとなの生き甲斐があるのです。
(3)<自由な環境>は、いつ、どこで、だれが、子供に与えるのでしょ
うか?
<新・教育学>では、<子供>と<おとな>を、どのように考えているか、
すでにお解りだとは思いますが、誤解を避けるため、ここであらためて明確
にして置きたいたいと思います。
<子供>とは、<誕生直後の赤ん坊から社会人(約20歳)まで>を考えてい
ます。
この間、子供は、家庭、保育園、幼稚園、小・中・高・大学校を経過して、
社会に出て行きます。この期間に、子供は、<家庭では保護者>と、<他の
機関では、先生と呼ばれている人々>と時間を過すことになります。それ
ぞれの場所で、それぞれの人々から<自由な環境>が、子供に与えられ
なければなりません。
従って<新・教育学>で<おとな>と言う場合は、<保護者>と一般に
<先生と呼ばれている人たち>を指しています。
<自由な環境>を子供に与えることは、おとなにとって、とても困難な事で
すが、子供にとっては、空気と同じ位、命にかかわる必需品なのです。
<自由な環境>が、十分であれば、子供は、生き生きと、自分の可能性
(自主性、自立性、感性、理性、思考力、などなど・・・(これまでの記事、
参照)を伸ばして行きます。
もし、不十分であれば、子供の成長は、伸び悩むことになるでしょう。残念
ですが、元気のない人間になってしまうでしょう。時には、欲求不満が強ま
り精神障害が起こるでしょう。
別の角度から言えば、<おとなの教育目標>は、子供が20歳位になるまで
に、子供の<自立心>を育て上げることではないでしょうか。
この目標が達成できれば、社会に出た子供達は、自力で困難を乗り越えなが
ら幸福な人生を切り開いて、生き生きと生きて行くことが出来るに違いあり
ません!
(4)ある小学校のベテラン先生からの質問。
私は、ある時、ベテラン先生からこんな質問を受けました。
「人格養成は、道徳に関するものだから、学校の道徳科の授業だけで、実施
することになるのですか?」
今、この記事をお読みのあなたは、この先生の理解が誤解であることがお解
かりになると思いますが、いかがでしょうか?
それとも、腑に落ちないでしょうか?
次回からの具体論、実践論をお読みいただければ、きっと腑に落ちると思い
ます。
**今回の内容の要点を最上部に図で示しました。少しボケていて見にくい
のですがお許しのほど!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
どんぐりおじさん
*こちらもぜひご覧下さい。 http://foresta.education