どんぐりおじさんの<人間関係論>

教育学を中心に、人間関係論やコミュニケーション論などに関する私案を、いろいろ書いています

道徳・・ある教師の授業方針。

   

    道徳・・ある教師の授業方針。

      


*<指導要領>には、22の価値(徳目)が定められています。
  ●善悪の判断。 ●正直・誠実  ●国土愛  ●心理の探求  ・・・・。


ある教師(A先生)は、22の価値の中に、<生徒の人間的成長・個性の伸長に適切であろう>と、自分が判断したものだけを、授業で取り上げ、生徒と話し合おうと考えています。


A先生の道徳の授業方針・目的は<生徒の人間的成長・個性の伸長>です。
A先生のこの考えは、文科省作成の<道徳科・解説書>とも一致しています。


A先生は、自分の授業方針に合った教材を、自分で選択します。教科書以外のものも
選択肢にあります。


**ここまでは、下準備です。


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**いよいよ、授業がはじまりました。
生徒との話し合いが始りました。


A先生は、クラス30人の生徒全員から、意見を聞きます。
班分けして話し合ったり、紙に書かせたり、全員に発表させたり、形式は、いろいろ考えられます。


A先生は、最後に意見集約はしません。多数決を採りません。
生徒、ひとり、ひとりの家庭環境、能力は、すべて違うから、生徒が話したこと、紙に書いたことが、たとえ同じに見えても、意味合いが違うはずだからです。


また、多数決を採って集約すると、生徒はどう感じるでしょうか?
生徒は「他数者の考えが正しく、少数者の考えが正しくない」と無意識に判断する可能性が高いからです。


これは、とんでもない危険な判断です。


もともと、人の考え、価値観は、ひとり、ひとり、異なるものとして、尊重されなければなりません。
憲法でも「思想の自由」、「言論の自由」が、うたわれています。


*A先生は授業の最後に、次の様に全員に話します。
「みなさんから、いろいろの考えが発表されました。
私は、皆さん、ひとり、ひとり、が、今の自分の考えを大事にして生活して欲しいと思います。
ただ、自分の考えが、絶対正しいと思い込まないで欲しいと思います。
生活の中で、「自分が経験したことと、自分の考えが、違うな!」と感じた時は、自分が納得できる考えに、変更して欲しいと思います。
そうすれば、自分の考えが、だんだん深まって来て、生活が生き生きして来て、どんどん面白くなると思います。
このことを忘れないで下さい。


私自身も、そうしながら、みんなと学校生活をしています。
なかなか、うまく行きませんが、そうしたいと努力しています。
これで、今日の授業を終わりますが、質問のあるひとは、後で来てくださいね」。


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どんぐりおじさん

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