教育新聞(第14号)
人格養成のための<新・教育学>
=対話による、生徒中心の教育=
(Ⅰ)実践論
(1)序論
(2)基礎概念
(い)C・R・ロジャ―ス博士の仮説
(ろ)<実現化傾向>について
(は)その個人に対して、外部から与えることが出来る<適切な環境>とは 何か?
(に)自由な環境とは、何か? 不自由な環境とは、何か?
ここまでは、第13号に述べられていますので、そちらをご覧になって下さい。
第14号は、次の(ほ)から始まります。
(ほ)自由な環境・雰囲気
子供(赤ちゃんから、社会人になるまで)のために<自由な環境・雰囲気>を与 える事が出来るのは、おとな(保護者。先生)です。おとなが、子供にどのように 接すれば、おとなは、子供に<自由な環境>を与える事が出来るでしょうか?
(1)子供を、ひとりの人間として、大切に見守ること(自主性の尊重・強化・促 進)。
(2)おとなの思い通りに、子供を指導しないこと(自主性の尊重・強化・進)。
(3)子供の願い(・・したい。・・・したくない)を大切にして、その願いを、 出来るだけ、かなえてあげる事(自主性の尊重・強化・促進)。
(4)子供自身の生活において<子供がやるべき事>には、手出し、口出しをせ ず、子供自身が、自分の力だけで<自分がやるべき事>を実行するように、 接すること(自発性、思考力、判断力、決断力、実行力の尊重・強化・促 進)。
例(1)「ママ、ただいまー!」。 〔お帰り!今日は、早かったわね〕
「今日は、お掃除が早く終わったからね。これから、Aちゃんと遊んでくる よ」〔行っておいで。4時までには、帰って来てね〕。 「わかったよ。 じゃねー」
例(2)「先生、宿題やってくるの、忘れちゃったよ」。
[そう。宿題も大切な勉強だから、次は忘れないようにしてね]。「わかっ た」。
(へ)不自由な環境・雰囲気
<不自由な環境>は、<自由な環境>の反対ですから、例のみあげれば、充分で しょう。
例(1)
「ママ、ただいまー!」。 〔お帰り。すぐ宿題をやりなさい〕。
「え!だって、3時に、K君と遊ぶ約束してあるんだよ。」
〔どうして、そんな約束してくるの!! ママの言う通りにしなさい!〕。
例(2)
「先生、宿題やってくるの、忘れました」。
〔また忘れたの!君は、いつも忘れるね! どうして、そんなに忘れっぽい の! 今度は、きっとやってくるって、きのうも、約束したばっかりじゃ ない!!〕。
「ごめんなさい」。
(と)人格(パーソナリティ)とは、何か。
私達は、前に、次のことを、確認しました。
<教育とは、何か? その目的は、ただ一つ、子供の人格養成である。
知識教育は、大切ではあるが、人格養成に必要な補助的手段に過ぎない。>。
では、ここで<人格とは何か>を考えて見ましょう。
人格は、次のようないつかの<人格特性>から成り立っている、と私は思いま す。過不足があれば、教えて頂きたいと思います。すべての人間は、これらの特性 を先天的に持っていて、これらの特性を発展させようと努力する性質を持っていま す(実現化傾向)。
<人格特性>とは、
理性。感受性(感受力)。自主性。自立性。自律性。自発性。積極性。観察 力。自己主張力。協調性。思考力。好奇心。知識欲。実行力。判断力。決断 力。批判力。評価能力。忍耐力。持続力。注意力。好奇心。食欲。性欲。睡眠 欲。
(独占欲。支配欲。依存性。攻撃性。非攻撃性。所有欲)・・・(成長を妨げ る特性)。
子供のこれらの人格特性(括弧の特性を除く)が、充分に発揮され、子供が伸び伸 びと成長できる<自由な環境>を、おとなが、子供達に与えるように努力をするこ と。これこそが、おとなが、子供の幸福のために役立てる最大・最重要な事ではない でしょうか。しかし、この努力は誰にとっても困難なことなので、自分なりに、たと え不満足でも、めげづ、あせらず、コツコツと続けることが大切です。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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