教育新聞(第11号)
第11号 2016年1月22日 発行
人格養成のための<新・教育学>
=対話による、生徒中心の教育=
(1)まえおき
第8号から第10号まで<新・教育学>(私案)について述べてきました。
<教育の真の目的は、何か>、<教育のあるべき姿とは、何か>、言い換えれば、 【教育理念】を考えてきました。
今後は、生徒が、先生が、学校が、この理念(願い、目的)を実現するには、 <具体的に、どうすれば良いのか>、<その方法は、何か>、言い換えると学校教育 の【実践論】、【方法論】を見つけ出さねばなりません。
どんな立派な理念(願い)でも、その理念を実現する方法がなければ、その考え は、絵に書いた餅で、何の意味もありません。木になっているウマソウな柿を見上げ て、ただ「食べたいなあ」と口を開けて、柿が落ちてくるのを、待っているのと同じ です。その柿を手に入れるのに、柿の木によじ登るか、ハシゴをかけるか、どうする か!
今は、教育の【理念】から、【実践論】に入る大事な節目です。今後、有効な【実 践方法】を、皆さんと一緒に考えるためには、【理念】をシッカリと頭に入れて置か ねばなりません。
そこで、【実践方法】を探る前に、繰り返しにはなりますが、もう一度、これか ら、第8号、第9号、第10号で述べた【教育理念】の総まとめを、やりましょう。
総まとめですから、詳しい説明は省略されます。詳細については、第8号から第10 号をご覧になって下さい。
(2)【教育理念】・・総まとめ
*<学校教育の目的(願い)は、ただひとつ、生徒の人格養成、人間形成です>。
*知識教育は、そのために必要なものですから、そのような意味で、重要です。しか し、知識教育が、教育の第1の目的では、ありません。知識教育の偏重にならない よう、十分、注意しなければなりません。
*<生徒の人格養成>は、先生、生徒、保護者が、お互いに、協力しながら、励まし
会いながら、話し合いながら、実行されて行きます。
*この過程には、苦労あり! 喜びあり! 生きがいあり! 時に,混乱あり!
*この過程で、その人(教師、保護者、生徒)なりの潜在能力が、発揮されて行きま す(C・R・ロジャ―ス博士の仮説)。
*私達は、この仮説を信じることが出来るでしょうか? この仮説は、実証されてい るのでしょうか?
*実証されているのです。C・R・ロジャ―ス博士が、長年のカウンセリング経験と 研究により実証したのです。
*C・R・ロジャ―ス博士の仮説
「すべての人間は、生まれながらにして、自己を、人間として健全な方向へ成長・ 発展させて行く潜在的な<性質・傾向・能力>を有する。この傾向を<実現化傾
向>と言う」。
*とらわれのない眼で、人間を観察する能力のある人は、この仮説を承認することが 出来ると、私は思うのですが、いかがでしょうか? (これで、総まとめを終わり ます)。
(3)次号から始まる、実践論の予告
*さて、C・R・ロジャ―ス博士が発見した<実現化傾向>が発揮される条件と は、どのようなものでしょうか?
*実現化傾向は、潜在能力です。例えて言えば、植物のタネの中に潜んでいる生命 力の様なものです。たとえば、ある植物の成長に適した水、土、光、肥料、その 他の、十分な条件が与えられなければ、タネは、発芽し、成長し、花を咲かせる ことは出来ません。
*人間の場合、その人間の潜在能力が、十分に発揮され、実現されるための適切な 条件、適切な環境とは、どのようなものでしょうか? 適切な条件、適切な環境 が、もし不十分であれば、子供の成長・発展は、不十分になります。必要な条件 が、まったく与えられない場合は、残念ながら、人間は、その時に、死んでしま います。非常にきびしいことですが、人間に限らず、生命の掟といえるでしう。
*私達おとな、特に、先生方や保護者が、生徒や子供たちのために出来ることは、 ただ一つ、全力で、適切な条件、適切な環境を、彼らに与えること、その努力を すること、ではないでしょうか。
*そのような条件・環境とは、どのようなものでしょうか?
次号から始まる実践論で、この点を、皆さんとご一緒に考えたいと思います。
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