対話中心の<新・家庭教育論> (第14回)
対話中心の<新・家庭教育論> (0歳~12歳)
【Ⅲ】子供の成長を,妨げるもの。
(2)しつけ教育, 道徳教育。
ここで、私が問題にしている<しつけ教育,道徳教育>(以 下、略して<しつけ教育>と書きます)とは、
大人が、子供に 「良い事」、「悪いこと」、「礼儀作 法」、「常識」 などを、教えよう、守らせようと、子供に 無理強いする行為です。
これらの教訓、価値観、徳目、は、すべて、大人が作ったも のです。
おとなの社会で通用している、暗黙のルールです。
子供の世界には、もともと適用出来ないものです。
それなのに、なぜか、学校でも、家庭でも、重要な教育目標に 掲げているのです。
私には、それが判らないのです。
ここが、学校教育、家庭教育の、最大の誤りだ、と私は思い ますが、いかがでしょうか?
誤解を避けるために、ひとこと。
子供が、健全な生活をするために、どうしても必要な、次の ような<生活習慣>を、親が子供に、身につけさせようとす る行為・努力は、ここで取り上げている<しつけ教育>には 含まれないことは、言うまでもありません。
*早ね、早起き。 *健康的な食事。
*友達と、外で、良く遊び、良く運動する事。
*うがい、手洗い。 *歯磨き
*自分の事は、自分でやる。 *交通ルールを守る。 *・・・・・。
さて、本題に戻りましょう!
家庭教育、子育てで、ご家族が、特に、お母さんが、一番苦 労しておられるのは、きっと、<しつけ教育>ではないでし ょうか?
なぜなら、子供は、お母さんが守らせようとする事を、なか なか守らないからです。お母さんは、そんな子供を見るたび にイライラするでしょう。そしてストレスが、たまります。
欲求不満になります。
子供の方は、どうなっているでしょうか?
実は子供も非常に苦労しているのです。大好きなお母さんか ら言われたことなので、心の中では「ママに言われたことだ から、チャンと守らなくちゃ!」と強く思っているのです。 でも実際は、なかなか守れないのです。ですから、子供の心 にも、強いストレスが溜まって、欲求不満になっていくでし ょう。
結局、<しつけ教育>は、お母さんと子供の両方に、強いス トレス、欲求不満を、ひき起こしているのです。
欲求不満は、子供と親の関係を、不愉快にし、破壊し、子供 と親の成長を妨げます。
では、なぜ、子供はお母さんの教えを守れないのでしょうか
それはお母さんの言うことを<理解出来ない>からです。
この事は、次のようなことを言われた時の、子供の顔を見れ ば誰でも納得するでしょう。子供はお母さんの顔を黙ってじ じっと見つめ、「わからないなー」と言いたげな不満そうな 困ったような、不思議な表情をするのです。
*「大人の人には、挨拶を、チャンとしましょうね」
*「ウソをついては、いけないのよ」
*「喧嘩しては、いけませんよ」
*「悪いことをしたら、あやまりなさい」
*「乱暴なコトバを、使ってはダメよ」
*「遅刻しちゃダメよ」
子供は、まだ批判力がないので、家族から、いろいろな教訓 を繰り返し繰り返し教えられると、間もなく意味もわからな いままに大人の教訓を自分の中に取り入れてしまうのです。
<しつけ教育>によって「良い」、「悪い」で物を見る目 (二つに、一つ)が、幼少にして、だんだんと出来上がって いくのです。
実際の生活状況は、非常に複雑で、「良いことだ」、「悪い ことだ」と簡単には、判断できないことは明らかです。それ なのに、「良いこと」か「悪いこと」かで、人の言動や物事 を判断して生きていこうとすると、どうなるでしょうか?
それは、言うまでもありません!!
幼少時に、一度出来上がったこの目(二者択一の判断基準) は、やがて 批判力が出来てくる年頃になっても、改善が非 常に困難なのです。
人間の脳は、一度出来上がったものを、頑固に守ろうとする 性質があるようです。
家族が、特に、お母さんが、<しつけ教育>から手を引け ば、お母さんも楽々、子供も楽々!
お母さんと子供が、お互いに、気楽に、友達の様に、生活す ることが出来れば、どんなにすばらしいことでしょう!!
この、自由な雰囲気の中で、子供は、家族に見守られなが ら、自分の力で、心身ともに、健全な方向へと成長していく でしょう!
礼儀作法などは、社会に出れば自然に身に付くのですから心 配しなくても大丈夫でしょう。
職場で挨拶をしない人を見たことがありますか?
【結論】
<しつけ教育>は、やめましょう!
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